業種別の労務対策

1 学校法人の労務

教員に関しては、公立・私立を問わず、働き方改革の必要性が高いと指摘されており、学校法人においても、教員の労働環境の整備を行うことの重要性が高まっています。
特に、長時間労働及びこれに伴うメンタルに関する問題を抱える労働者が多いため、長時間労働を抑制するための労務管理、休職制度の整備、産業医との連携といったポイントを押さえる必要があります。
また、教育に関わる事業を運営するといった点から、コンプライアンスを重視した労務管理を行う必要性があります。そのため、内部通報制度・公益通報者制度の整備やパワハラ・セクハラに関する体制を整備することが特に重要となります。

2 介護福祉施設の労務

介護福祉施設では、パートタイマーや有期雇用労働者といった非正規労働者を比較的多く活用しているという特色が存在します。
そのため、非正規労働者ごとの雇用ルールの設計や正規労働者との間の待遇の違いへの対応が必要になります。
そのほか、女性が多い職場であるため、育児介護休業に関する規程の整備の必要性が高い、柔軟な働き方を実現するための制度設計の必要性が高いといった特色があります。

3 病院の労務

365日24時間業務を行う事業所が比較的多く、勤務体制が不規則になりがちという特色があります。
そのため、看護師に関しては、シフト制や変形労働時間制を適切に運用すること、労働者の労働時間を適切に管理することが重要になります。
また、医師は基本給が高額に上ることから、時間外労働が生じると、割増賃金も高額になるという特色があり、かかる観点からも労働者の労働時間を適切に管理することが重要です。

4 運送会社の労務

運送会社の労働者は、他業種と比較し長時間労働が多いとされています。厚生労働省から「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」という告示が存在し、労働時間に制限が設けられています。
また、長時間労働に起因する残業代請求も多くみられる業界であり、残業請求への対策を念頭において労務管理を行う必要があります。
業界の慣習として、歩合給制度を取り入れている会社も多いところ、近年は歩合給と残業代に関する重要な最高裁判決も出されており、適正な賃金設計が行われているかを検討する必要があります。

5 産業廃棄物業者の労務

廃棄物処理業界は労働災害の発生頻度が高いという特色が存在します。厚労省の「労働災害動向調査」によっても、他業種よりも労災が発生しやすく、被害の程度も大きいことが確認できます。
そのため、労働者の安全管理が重要といえ、施設や機械の作業環境を整備する、労働時間を管理し長時間労働を抑制する、労働者に適切な研修を実施して安全教育を徹底する、といった対応が必要になります。

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