ひな形利用には大きなリスクが!契約書のチェックの必要性を企業法務に強い弁護士が解説

「契約書チェック」とは、契約書の形式的な文章や体裁の訂正のみではなく、契約に潜在する大きなリスクや会社の利益を大きくする方法を発見する作業でもあります。
本記事では、実際に多数かつ多様な契約書チェックに携わってきた弁護士が考える、契約書チェックの必要性や、弁護士としてサポートできる内容について解説します。

契約書チェックを弁護士に依頼するメリット

契約書チェックはスムーズな企業経営のために重要なものといえます。そんな契約書チェックに関わる者として、弁護士、司法書士、法務部員等が想定できますが、やはり弁護士に委ねるべきといえます。

以下、契約書チェックを弁護士に依頼するメリットを紹介していきます。

企業の未来の利益を守ります

契約書を作成する主な目的の一つは、未来の利益を守ることです。弁護士が作成した契約書は、予期せぬリスクを適切に考慮し、そのリスクを適切に管理することを可能にします。これにより、法人様が将来的に適切な利益を得るための道筋を確保することが可能になります。

予期せぬトラブルを防止できます

契約書には、取引の詳細を含む多くの項目があります。これらすべてが明確で、法律に適合していなければなりません。弁護士が契約書を作成すると、法的な観点から全ての項目をチェックし、適切に修正することができます。これにより、後で予期せぬトラブルが生じることを防ぐことができます。

訴訟の経験知を活用した予防法務

弁護士法上、訴訟代理人となることができるのは弁護士のみです。すると、契約書の作成段階で訴訟までをも見据え、当該契約書の文言によって生じるリスクを適切に想定することができるのは弁護士のみということができます。

これは、法的な知識のみではなく、訴訟の中での主張立証活動を行ってきた経験知であり、他士業にはない弁護士の強みということができます。

日々、企業の皆様の多様な相談に対応する中で、企業内での手続や、契約書に反映したい取引の実情、当該業界や当該業種の現状や社会情勢等、広く様々な情報を得ており、そうした情報を契約書チェックに反映することができます。日ごろから企業法務に携わっている弁護士ならではの強みと言えるでしょう。

弁護士にリーガルチェックをするべき理由

契約書はただ作成すればいいというものではありません。作成した契約書案を、実際に取引に用いてよいかをチェックするのが契約書のリーガルチェックです。

契約書のリーガルチェックを弁護士に依頼するべき理由を3つ紹介します。

ひな形が法改正に対応できているか判断しにくい

売買契約や消費貸借契約は日常的に大量に行われている取引であり、こうした取引のためにいちいち最初から契約書を作成していたのではあまりに不効率ですし、他の契約と重複する条項も存在します。そこで、実務では、ひな形が用いられることがほとんどでしょう。

ひな形を用いることで、効率的に契約書を作成することができ、また、当該契約類型で留意すべきポイントも明確といえるため、ひな形は非常に便利なものといえます。しかし、ひな形をそのまま用いることにはリスクが伴います。ひな形は、当該契約類型上最も普遍的な条項を想定したものにすぎないため、どんな契約にも対応できるというものではありません。「ひな形ではこうなっているから~」などと、ひな形の条項にこだわりすぎてしまうことは、かえって当該契約を不適切なものにするおそれがあるのです。あくまでひな形はひな形であり、実際の取引の実態などを契約内容に反映できるように柔軟に変更していく必要があるのです。契約書チェックの過程で、当該個別の取引に応じた適切な契約となるよう是正していきます。

また、ひな形それ自体の問題もあります。例として、令和2年4月に民法が改正されました。現在お使いのひな形は、法改正に対応しているでしょうか。契約書チェックがなおざりにされていると、改正前の法律に準拠したひな形を用いたままの可能性もあります。

それぞれの取引内容に最適な条項ではない

次に、契約書に契約の履行や履行過程に問題が生じた場合の対応策を定めていた場合、その対応策が、発生した問題に適切に対処しうるものなのかをチェックします。

ここで、想定されるべき問題は、自分の行為、相手方の行為に限らず、第三者の行為や自然現象等を含みます。それぞれの問題が生じたときに、どのような不利益が生じるかを想定し、想定される不利益が最小になるように契約書を作成することで、問題発生時に負担しなければならないリスクを軽減することができます。

契約書チェックの段階で十分に対応策が用意されていれば、実際に問題が起こったときはその対応策に従って問題を処理するだけとなるため、対応の手間が課題になることもありません。

相手との力関係を踏まえた取引リスクを把握できる

最初にご説明したように、契約書とは、契約当事者の意思の合致が表示された文書をいいます。契約自由の原則のもと、強行法規に反しない限り、当事者の意思が合致する以上はいかなる契約でも締結することができます。一方で、取引上の立場を盾に、当方が不利な条件を押し付けられることもあります。

そうした場合でも、当該取引の相手方との力関係や、当該取引の経営上の重要性を鑑みて、当該取引のリスクの大小、リターンとのバランス、その他経営にかかわるあらゆる事項を考慮して、契約書チェックを行っていきます。最終的にどれほどのリスクを負うかは経営判断を伴うものではありますが、適切な経営判断を行う前提として契約書チェックを行うことで、リスクを明確に把握することができます。

契約書に関する基礎知識

まず、契約書とは、契約当事者の意思の合致が表示された文書をいいます。つまり、契約書かどうかは、文書の体裁や表題ではなく、契約書にあらわれている意味内容に、契約当事者の意思の合致が含まれているかによって決定されます。文書中に契約当事者の意思の合致が含まれている限り、「合意書」「協議書」という表題の文書でも、契約書ということになります。
そして、契約の成立と契約書の作成は、基本的には異なる概念です。民法の典型契約の一部には、要式契約といい、書面によって合意されない限り成立しない契約もありますが、多くの契約は諾成契約といい、書面によって合意されることを必要とせず、意思の合致によって成立します。すなわち、契約書を作成せずとも大体の契約は成立することとなります。
それではなぜ、契約書を作成することが必要なのでしょうか。

契約書作成の必要性

まず、意思の合致という目に見えないものを、客観的に、その内容を明らかにする表章の作成という点で、その意義があります。契約締結時点で、お互いの意思がどのような内容で合致しているのかを目に見える形で明らかにするものです。

次に、契約によって発生する権利義務を具現化するという効果があります。

さらに、契約の履行過程において、契約をめぐるトラブルが発生した場合に、その処理方針を定めておくことで、争いが無用に長期化・複雑化することを回避することができます。

契約書を交わさないことによるリスク

契約書を交わさないで取引を行ってしまうと、意思表示の合致が客観的に証明できないため、紛争になったときに立証が困難となります。また、契約の履行過程で問題が起こった時の処理方法が客観的に明らかではないことから、問題を処理することが困難となり、紛争が長期化・複雑化する要因となりえます。

契約書作成時の注意点

契約書はビジネス上の合意を明文化する重要な書面です。しかし、適切な知識がなければ、契約書に不備や問題が生じ、後々大きなトラブルにつながることもあります。そこで、契約書作成時の注意点をご紹介いたします。

最新のテンプレートを使用する

契約書作成にはテンプレートの使用が一般的ですが、そのテンプレートは最新のものでしょうか?

法律は常に変化するため、古いテンプレートを使用すると現行法に対応していない可能性があります。当事務所では、最新の法律知識に基づいて契約書の作成をサポートします。

取引に最も合うテンプレートを選ぶ

契約書のテンプレートは一概に「良い」ものがあるわけではなく、取引の内容や状況により最適なものが変わります。そのため、テンプレートの選択は専門的な知識を持った弁護士の意見を取り入れることが望ましいです。

取引内容ごとに追記修正・最適化する

テンプレートを取引内容に合わせて最適化することが不可欠です。

契約の詳細やリスク対策を適切に反映させるため、個別の条件を精査し、必要な条項を追加、修正することが重要です。当事務所では、具体的な取引内容に基づき、最適化した契約書を作成するお手伝いを致します。

よく交わされる契約書における注意点

具体的な契約書の種類により、注意すべきポイントは異なります。以下に、よく交わされる契約書である金銭消費貸借契約書、秘密保持契約書、売買契約書のそれぞれについて、注意すべきポイントを述べます。

金銭消費貸借契約書

金銭消費貸借契約書は、貸主と借主との間の金銭の貸し借りを規定します。金利や返済日など、重要な条項が多数含まれますので、これらの条項が明確に記載されているか、また法律に適合しているかを確認することが大切です。

秘密保持契約書

秘密保持契約書は、ビジネス上の秘密情報の取り扱いを規定します。ここでの注意点は、秘密情報の範囲と秘密保持の期間、そして違反時の損害賠償等を明確に記載することです。

売買契約書

売買契約書は、商品や物品の売買に関する条件等を規定します。価格、支払条件、引渡時期等、明確に記載するべき項目が多いため、各項目が適切に反映されているか確認することが重要です。

 

以上が契約書作成時の注意点です。しかし、これらのすべてを自身で確認するのは容易ではありません。弁護士への相談が最適です。

当事務所の契約書の作成・リーガルチェックの流れ

契約書作成までの流れ

1. 契約内容やイメージの相談

お客様と当事務所との間で相談を行います。この段階では、契約書作成の目的、重要な契約条件、特に留意すべきポイントなど、お客様のご要望を深く理解することを大切にしています。

2. 契約内容の詳細な確認

次に、お客様からの情報を基に契約の詳細を調整します。契約の期間、金額、範囲、違反時のルールなど、重要な項目をご一緒に確認のうえ調整します。

3. 契約書の初稿作成

詳細な契約内容が確定した後は、その内容を基に契約書の初稿を作成します。企業法務の経験や顧問対応実績による知識を活用し、かつ曖昧な表現を避けることで、法的な文書としての厳密さを保証します。

4. お客様からのレビューと修正

契約書の初稿が完成したら、それをお客様に提出し、フィードバックをいただきます。お客様からのご意見を基に、必要に応じて修正や追加を行います。

5. 最終的な確認と契約書の完成

お客様からのフィードバックをもとに修正を加え、お客様が契約書の内容を承認していただいたら、契約書は完成となります

リーガルチェックの流れ

1. 契約内容や懸念点・期限のご相談

どのような契約書をチェックしてほしいのか、ご懸念の具体的なポイントは何か、チェックの期限など、必要な情報をお知らせください。

また、契約書やそれに関連する資料をご提供いただきます。また、契約の背景や該当するビジネスの概要など、リーガルチェックを適切に行うための詳細情報を共有いただきます。

2. 当事務所でリーガルチェックを行います

当事務所の弁護士が、提供いただいた情報に基づき、リーガルチェックを行います。これには、契約書が法律に準拠しているか、不適切な条項がないか、重要な項目が漏れていないかなどを確認します。

3. ご報告と修正のご提案

リーガルチェックの結果をご報告いたします。また、問題点が見つかった場合、修正に関するアドバイスやご提案を行います。

4. リーガルチェックの完了

最終的な修正および確認が完了し、問題がなければリーガルチェックはここで完了となります。

継続的なご依頼は顧問契約がリーズナブルです

契約書の作成やリーガルチェックは企業活動にとって重要ですが、一度きりではなく、定期的に必要になるものです。継続的なご依頼や、もしくは契約書が複数存在する場合は顧問契約がリーズナブルになるケースが多いです。

長期的な視点で法律リスクを管理し、ビジネスに集中できる環境をご一緒に作ってまいります。

契約書に関するご相談は西村綜合法律事務所まで

以上、みてきましたように、契約書チェックはありふれた作業と思われがちですが、実は非常に奥深い作業ということができます。そして、一度作成してしまった契約書を撤回して契約を作り直すということは一般的には困難です。会社にとって重要な契約ほど、契約書の締結の前に契約書チェックが必要不可欠といえます。

当事務所では、契約書チェックに関する豊富な知識と経験をもとに、経営者の皆様の悩みに迅速に対応いたします。ぜひ一度、当事務所にご相談ください。

また、顧問契約による継続的な支援も可能です。法律の内容は日々変化し、それに対応するためには専門的な知識と情報が求められます。

西村綜合法律事務所ではオンライン形式も可能な初回無料相談を実施中です。お気軽にご相談ください。

 

 

「ひな形利用には大きなリスクが!契約書のチェックの必要性を企業法務に強い弁護士が解説」の関連記事はこちら

弁護士法人 西村綜合法律事務所の特化サイト

お気軽にお電話ください 03-3237-3515  
電話受付:平日・土日祝 9:00~18:00