不動産トラブルで訴訟をお考えのオーナー様へ – 不動産売買に弁護士って必要?
不動産取引と聞くと少し難しそうな印象をお持ちではないでしょうか?
それもそのはず、そこには多くの法律的な手続きや複雑な契約書、そしてそこから生じる様々なリスクが存在します。しかし、ご安心ください。私たち弁護士は皆様が安心して不動産取引を行えるよう全力でサポートします。
不動産取引を弁護士に相談するメリット
取引のリスク把握や権利関係の判断をサポートします
不動産取引には数多くのリスクが伴います。
例えば、売買契約の締結後、建物に重大な瑕疵が発見されたり、土地の境界に問題が生じたりといったことがあります。これらは一見小さな問題のように感じるかもしれませんが、その解決には莫大な時間と費用がかかることもあります。
私たち弁護士は、事前にリスクを明確に把握し、適切な判断をするためのサポートを行います。これにより、予期せぬ問題が発生したときも安心して対処することが可能となります。
契約書のリーガルチェックによりトラブル回避ができる
契約書は、不動産取引における最も重要な書面の一つです。
しかし、専門的な表現が多く、その内容を十分に理解するのは難しいものです。
私たちは契約書の内容を専門家の目線でチェックし、問題点を洗い出します。そして、それに対する対策を提案し、必要な修正を行うことでトラブルを未然に防ぐ役割を果たします。契約書のリーガルチェックは、安心して不動産取引を進めるための重要なステップです。
裁判など紛争に発展した場合に対応を一任できる
不動産取引は、場合によっては裁判などの紛争に発展する可能性もあります。
その際、自身で対応するのは大変困難かつ時間を奪われてしまいます。弁護士に依頼することにより、対応を一任することができ、適切な対応を迅速に行うことが可能です。
不動産取引における法的な注意点
不動産を巡るトラブルは多くの方が経験するトラブルの類型の1つです。
一般の方にとっては賃貸マンションの家主様・オーナー様とのトラブル、持ち家の購入に関するトラブルが最も一般的です。
逆に、複数の物件をお持ちの家主様・オーナー様の場合、不動産のトラブルに遭遇される確率は高くなります。
また会社を経営されている場合は、事務所や工場、店舗、倉庫などを購入されたり、賃貸されるケースも多くなります。
例えば、不動産を賃貸している場合、賃貸不動産に修繕が必要となり「オーナーがその費用を負担するのか、あるいは賃借人が負担するのか」という問題が発生した際は、賃貸借契約書の修繕に関する条項がどのように記載されているかが極めて重要になります。
もちろん、その解釈を巡ってトラブルになることも多々あります。
このようなトラブルが発生した際には、直接相手方とやりとりされる前に弁護士に相談し、契約書がどのようになっているのか、法律の専門家の解釈はどうか、というアドバイスを受けた上で対応されることをお勧めします。
不動産売買取引の注意点
「不動産の購入を検討しているが、注意すべき契約のポイントがわからない」
「購入してすぐに欠陥が見つかった」
「想像をしていた物件と実際の物件とに大きな乖離があり、困っている」
不動産の売買は取引額が高額であるため、慎重に契約を結ぶ必要があります。
不動産の取引では契約書を作成するのが一般的ですが、契約書を作成するといってもどの点に注意しなければならないのかポイントがわからないというのが普通ではないでしょうか?
一度契約を結んでしまうと解約するのが難しい場合があり、法的な専門知識がなければ後々大きな不利益を被ってしまうおそれがあります。
不動産の売買は取引額が高額であるため、私たちが経験する取引のなかでも非常にリスクの高い取引のひとつです。
実際に不動産の売買においてはトラブルが数多く、皆様のなかにも既に不動産トラブルを経験されたことがある方や身近な人が不動産トラブルに巻き込まれたといった方もいらっしゃるかと思います。
では、不動産の売買の際にどのようなラブルが生じているのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
(ⅰ)不動産に付帯している権利がある場合のトラブル
不動産には、所有権以外にも抵当権や質権などといった権利が付帯している場合があります。
不動産に付帯する権利には様々なものがありますが、不動産の売買をする際にトラブルになることの多い典型的な権利として抵当権があります。
抵当権とは、簡単に言うとお金を貸す人(債権者)がお金を貸した人(債務者)からお金の回収できなくなった時の担保としてあらかじめ不動産等に設定しておく権利です。
この抵当権を設定しておくことにより、万が一返済が滞った場合に不動産を競売にかけて売却し、その代金から他の債権者に優先してお金を回収することができます。
したがって仮に購入した不動産に抵当権が付いていた場合、抵当権者が抵当権を実行することにより、せっかく購入した不動産であってもこれを手放さなければならなくなります。
また抵当権の他にも、購入した不動産に地上権や借地権といった権利が設定されていた場合、購入した不動産の利用が制限されてしまい不動産の完全な利用ができない恐れもあります。
こういったトラブルを生じさせない為にも、不動産の売買の際には不動産に付着している権利の有無については確認を怠らないようにしてください。
(ⅱ)法令上の制限がある場合のトラブル
不動産の売買にあたっては、法令上の制限があるかどうかについても確認をする必要があります。
私たちは公的な制限の範囲内で不動産の利用や建築、売買などが可能であり、好き勝手に建物を建てたり土地を売買したりはできません。
例えば、取引の対象となる土地や建物が建築基準法や都市計画法等の諸法令の制限を受ける場合(現状変更の禁止や利用制限などの法令上の制限が設けられている場合などが該当します)、私たちはこの制限の範囲内で不動産を扱うことができるのです。
「法令上の制限」または「法令に基づく制限」とは、そういった不動産に対する制限を規定する各種法令の総称です。
このような不動産を制限するような法令は50種類以上存在します。
不動産売買の際には、このような法令上の制限の有無をきちんと確認するように留意してください。
(ⅲ)隣地との境界を巡るトラブル
不動産の売買において直面しやすい問題の代表的なものとして境界トラブルがあります。
土地の境界は普段の生活のなかでは問題となることも少なく、自分は境界トラブルとは無縁であると思っていても、いざ不動産を売買しようと境界を確認したところ
隣地との境目がよく分からなくて困った、地積測量図と実態とに誤差があり隣の塀が自分の土地上に作られていることが判明したなど、思わぬ大きなトラブルに巻き
込まれるケースは少なくありません。
通常、土地の境界には「境界標」と呼ばれる四角い杭があり土地の境界が視覚で認識できるようになっていますが、境界標の位置が災害で移動してしまっていたり、そもそも境界標が設置された時期が古く許容誤差が大きかった時代のままになっているため土地の公図と境界標とに誤差が生じてしまっていることがあるためです。
したがって、通常不動産業者を介して土地の売買を行う際には売買契約前に隣地所有者立ち合いのもと登記簿や公図など役所や法務局に保管されている資料をもとに土地の境界の確認が行われ境界確認書が作成されますが、このように後々の境界トラブルを避けるためにも、必ず隣地所有者との間で境界確認書を作成するなどしてトラブルを未然に防ぐ措置を講じるようにしてください。
(ⅳ)契約内容についてのトラブル
不動産売買をするにあたり売主・買主双方の間で不動産売買契約の締結がなされますが、この不動産売買契約においては特約が付加されているものも多数存在し、その多くが売主に有利な内容となっています。
そのため、不動産売買契約の締結にあたってはその契約内容を十分に理解した上で契約の締結がなされていないと、後々よく見てみると買主側にとってはかなり不利である内容のものであることも考えられます。
契約内容については、双方十分に理解しておかなければ後々トラブルになりかねませんので不動産売買契約の際には必ず気を付けるようにしてください。
不動産売買契約締結時には必ず確認しておくべきポイントがいくつかあります。
以下ではそのポイントについてご説明いたします。
(ⅰ)現地調査をおこなう
売買する不動産を売主が所有しており他に共有者がいない場合であっても、必ず現地調査をするようにしてください。
仮に購入した不動産を第三者が勝手に占有していたり、第三者に賃貸していたような場合、そのような事実は登記事項証明書からは読み取ることができません。
これらの情報は実際に売買する不動産を調査してみてはじめてこのような不動産の情報を知ることができるといえます。
もし現地調査を行わずに不動産売買契約を締結し購入した建物が第三者に賃貸されていた場合、せっかく購入した不動産であっても自ら使用することができないといったトラブルが生じてしまいます。
こういったトラブルを防ぐためにも不動産売買契約時には必ず現地に赴き、売買契約を結んでも問題のない不動産であるかどうかを調査するようにしてください。
(ⅱ)登記事項証明書を確認する
不動産売買契約前には不動産の権利関係を示す登記事項証明書を確認しておく必要があります。
登記事項証明書は対象不動産の所在地を管轄する各法務局で取得することができます。
登記事項証明書には不動産の所有者や所在地、不動産の権利関係などといった不動産の情報が記載されていますので、不動産売買の際には必ずこれを取得し、不動産の権利関係の確認を行うようにしてください。
権利を有していることが確認できればその後の手続きをスムーズに進めることができます。
(ⅲ)用途地域を確認する
土地の売買契約時には、用途地域を確認する必要があります。
用途地域とは、都市を住宅地、商業地、工場地などの13種類に区分し、市街地の大枠としての土地利用を定めるもので、用途地域内における建物の建築には一定の制限が設けられている地域のことを指します。
売買予定地が用途地域に該当するかどうかは各地方公共団体で購入することのできる都市計画図で確認をすることができますし、現在ではほとんどの自治体がホームページで公開してします。
よって、もし購入した土地が用途地域でありこの事実を知らなかった場合、購入した土地上に建物を建築しようとしても用途地域に設けられた制限(例えば建てられる建物の種類や大きさ、高さなどの制限があります)のために希望する建物の建築が困難な状況が生じてしまいかねません。
不動産売買契約にあたっては、購入する土地が用途地域に該当するか、該当するのであれば土地にどのような制限がかかるのかを必ず確認するようにしてください。
(ⅳ)対象不動産に瑕疵(欠陥)のないことを確認する
不動産を購入する前には必ず購入する不動産に瑕疵(欠陥)のないことを確認するようにしてください。
売買した不動産に瑕疵があった場合の瑕疵担保責任(契約不適合責任)については後述いたしますが、不要なトラブルを防ぐ意味でも購入時には対象不動産に瑕疵のないことを十分に確認するようにしてください。
ちなみに購入した不動産に見られる瑕疵の典型的な例としては、購入した土地の地盤が軟弱であったため不同沈下が生じた、配管から水漏れがあった、雨漏りがする、中古建物にシロアリ被害があることを告げなかった、過去に事故や自殺があった事実を告知していなかったなどといったものがこれに該当し、不動産売買後に以上のような瑕疵が見つかることで不動産トラブルへと発展してしまう恐れがあります。
不動産売買においては売主には買主に目的不動産について説明する義務があります。
これを売主説明義務といいます。
したがって、買主が不動産売買契約を結ぶ際には不動産の権利に関して十分な説明を受ける必要があり、売主である不動産業者や仲介業者にはそれらの説明義務がありますので、法的な知識を持たない一般の方でも納得のいくまで説明を求めるべきです。
売主の説明義務については民法の信義則上の説明義務があるのに加え、売主が事業者であれば関連法上(例えば、宅建法上の説明義務などがあります)の説明義務を負います。
信義則については民法1条2項に規程がありますが、この中では「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」と規定されています。
これは簡単に言うと、社会は人々の「信頼」に基づいて成り立っているものだから権利の行使や義務の履行をするにあたっては相手方の「信頼」を裏切らないように行動しなければならないという原則のことを言います。
また宅建法上の説明義務とは、売主が宅地建物取引業者である場合には信義則上の説明義務に加え宅地建物取引業法35条1項に規定のある不動産取引の際の重要事項等を説明する義務を指します。
宅建業法35条1項においては不動産取引でトラブルになりかねない事項を列挙し、これらについては不動産売買契約前に必ず買主に説明しなければならないと義務付けています。
よってここに規定されている内容については買主には説明を受ける権利がありますので、理解ができるまで説明を受けることが可能です。
また、仲介業者についても同様に説明義務が生じ、仲介業者も売主に対して売買対象となっている不動産の説明をしなければなりませんので買主は仲介業者にも説明を求めることが可能です。
契約不適合責任とは、売買契約で「種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものがあるとき」に売主は責任を負い、買主は保護をされるという制度です。
簡単に言うと「契約内容に適合しない物を売ったときは売主が債務不履行責任を負う」という内容の制度です。
これまでは売買の対象物に瑕疵(欠陥)があった場合、瑕疵担保責任(改正前民法570条)によって買主側の保護が図られてきましたが、2020年4月に民法が改正された結果、この瑕疵担保責任は削除され契約不適合責任というものに変わりました。
それでは従来の瑕疵担保責任と新しく作られた契約不適合責任とにはどのような違いがあるのでしょうか?
まず、瑕疵担保責任も契約不適合責任も売買の対象物に瑕疵(欠陥)があった場合に売主の責任を問い買主の保護を図るという本質的な面では変わりはないですが、その具体的な中身については大きく改正がされており、契約不適合責任では従前の瑕疵担保責任に比べ売主の責任が重くなっています。
従来の瑕疵担保責任においては買主が売主に責任を問える範囲が「隠れた瑕疵(簡単に言うと、買主が通常の注意を払ったにも関わらず知ることのできなかった瑕疵)」であるのに対し、契約不適合責任は「契約の内容に適合しない場合(簡単に言うと、例え買主が瑕疵を知っていたとしても引き渡しを受けたものが契約内容と違うこと)」となります。
つまり契約不適合責任においては、瑕疵が「隠れていたかどうか」ではなくて、「契約内容と違うか」という面から売主に責任が問えるかどうか判断されます。
また、売主に責任を請求できる範囲も従来の瑕疵担保責任では「契約解除」と「損害賠償」のみであったのに対し、契約不適合責任ではこの二つに追加して「追完請求」と「代金減額請求」も可能となっています。
以上のように、契約不適合責任は瑕疵担保責任と比較したときにより買主保護の制度であることが分かります。
不動産賃貸契約の注意点
「理由もなく突然賃料の値上げを告げられて困っている」
「契約が終了した賃貸不動産物件の修繕費用を求められている」
「借主が何カ月も賃料の支払いに応じてくれない」
不動産の賃貸契約は売買取引と比較すると取引金額が少ない分、契約時の段階でトラブルが起こるリスクを回避していないケースが多いです。
契約条項の確認をおろそかにしてしまうことで賃貸人・賃借人それぞれにとって多大な不利益を被るおそれがあります。
契約を結ぶ際にも、ポイントが分からないため問題が発生して初めてその欠陥に気づかされるということがよくあります。
賃貸契約におけるトラブルを防ぐには、内容をしっかりと理解した上で契約を結ぶ必要があります。
トラブルを未然に回避するためにも法的な知識に基づいた契約書の作成は欠かすことができません。
また、契約期間満了時に発生する契約の手続きや解約の申し入れ、賃料の改訂や敷金の返還など、賃貸契約にまつわるあらゆる問題に対して、然るべき対応をとる必要があります。
これらの判断を慎重に行うためには法律の専門的な知識を要するので、適切なアドバイスを受けることが賢明です。
それでは不動産賃貸で生じるトラブルにはどのようなものがあるのでしょうか?
不動産賃貸を巡ってのトラブルの典型的なものとしては、家賃・賃料のトラブル、敷金のトラブル、修繕義務のトラブル、契約解除のトラブルなどがあります。
(ⅰ)家賃・賃料のトラブル
賃借人が家賃や賃料を支払ってくれない場合には賃貸人は最終的には裁判手続きにより、また場合によっては強制執行手続きによって家賃や賃料の回収を図っていくことになります。
このような場合には、賃料の回収のみならず契約の解除や賃貸不動産の明渡しを請求することになるケースも非常に多いです。
(ⅱ)敷金のトラブル
通常不動産の賃貸借契約を締結する際には一緒に敷金についても契約を交わすケースがほとんどで、この場合賃借人は敷金を担保として賃貸人に差し出すことになります。
敷金は賃貸借契約が終了し賃借人が賃貸していた不動産を賃貸人に返還した後に、原状回復費用を差し引いて余りがあれば賃借人に返還されることになります。
しかしながらこの敷金の返還の段階になっても敷金を返してもらえないなどといったトラブルが非常によく発生しています。
不動産の賃貸借は私たちの生活と非常に身近なものであることから、その分トラブルが生じてしまうことも少なくありません。
契約前に賃貸人との間で敷金についての確認をしておき敷金トラブルの未然の防止に努め、万一トラブルが生じてしまった場合であっても、弁護士に相談するなどして適切な対処に努める必要があります。
(ⅲ)修繕義務のトラブル
賃貸不動産の修繕義務については、通常の損耗については賃貸人に修繕義務があります。(ただし、契約書で特約として賃貸人の修繕義務を軽くしている場合があるので特約がある場合は注意してください。)
例えば、賃貸している不動産が経年劣化により雨漏りが発生したような場合には不動産の賃貸人にこれの修繕義務が生じますので賃借人には修繕義務が生じないことになります。
しかしながら、賃貸人の修繕義務がどこまで及ぶのかについては修繕の必要性や賃借人の過失などが考慮され判断されますので、判断基準があいまいであるといえ、不動産に修繕義務を巡るトラブルは非常に多いです。
不動産賃貸契約で失敗しないポイントについて解説します。
(ⅰ)土地賃貸借契約の更新
土地賃貸借契約の期間が満了した場合、その契約を更新するか否かが問題となります。
更新には当事者の合意に基づいて更新される合意更新と、当事者の合意に基づかない法定更新があります。
・合意更新
土地賃貸借契約は当事者の合意に基づいて更新でき、これを合意更新と言います。
契約期間の定めがなく借地借家法が適用される場合は、初回の更新ならば20年、2回目以降の更新ならば10年です。
ただし、当事者がこれより長い賃貸期間を定めることもできます。
・法定更新
賃借人が賃貸人に対し更新を請求し、建物が存在する場合にあっては、賃貸人が遅滞なく異議を述べない限り従前と同じ内容で契約が更新されます。
また、 賃借人が更新を請求しなくとも賃借人が土地の使用を継続し建物が存在する場合は、賃貸人が遅滞なく異議を述べない限り、やはり従前と同じ内容で契約が更新されます。
また、賃貸人の異議には正当事由がなければなりませんが、この場合の「正当事由」とは、
ⅰ、借地権設定者と借地権者が土地の使用を必要とする事情の存在
ⅱ、借地に関する従前の事情
ⅲ、土地の利用状況
ⅳ、借地権設定者が土地の明け渡しの条件として設定した立退料の金額
を総合的に考慮して判断されます。
(ⅱ)建物賃貸借契約の更新
土地賃貸借と同様に合意による更新と法定更新があります。
・建物賃貸借の合意
建物の賃貸借を合意で更新した場合は契約期間は最長で20年であり、1年未満の期間を定めた場合は期間を定めのないものと見なされます。
・建物賃貸借の法定更新
当事者が期間満了の1年前から6か月前までに更新拒絶の意思表示をしなかった場合、または契約条件を変更しなければ更新しない旨の通知をしなかった場合は、従前の契約と同一の内容で契約を更新したものと見なされます。
また、賃貸人から更新を拒絶する内容の通知がなされた場合であっても、賃借人が賃貸の使用を続けているのにもかかわらず、賃貸人が遅滞なく異議を述べなかった場合も同様に契約を更新したものと見なされます。
ただし、この場合は期間の定めのない賃貸借とされ解約申し入れの対象となります。
なお、賃貸人の更新拒絶の通知には正当事由が必要とされます。
この場合の「正当事由」は、
ⅰ、賃貸人が建物の使用を必要とする事情
ⅱ、賃貸借に関する従前の経緯
ⅲ、建物の利用状況
ⅳ、建物の現況
ⅴ、賃貸人が建物の明渡しを条件として設定した立退料の金額
を総合的に考慮して判断されます。
法定更新の場合、契約内容は基本的に従前の契約と同一となりますが、存続期間は「定めのないもの」となり、以後更新の問題は生じないことになります。
(ⅲ)解約申し入れとは
建物賃貸借で期間の定めがない場合または定めがないと見なされる場合は、各当事者はいつでも解約の申し入れによって建物賃貸借契約を終了させることができ、その場合一定の猶予期間を経て賃貸借契約が終了することとなります。
ただし、賃貸人の側から解約申し入れをする場合には正当事由が必要とされています。そしてこの場合、賃貸借契約は解約申し入れの日から6か月後に終了します。
(ⅳ)契約期間の途中での賃料の値上げ・値下げ
賃料については賃貸借契約で取り決めがなされ、賃貸借契約の途中での賃料の一方的な値上げや値下げはこれができないのが原則です。
ただし、当事者で合意した場合は契約内容を変更できます。
これは借地借家法で賃貸借契約当事者の「賃料増減額請求権」を認めているからです。
つまり、賃貸人の方から賃料を増額請求することもできますし、賃借人の方から賃料の減額請求もでき、双方の合意があれば賃料の改定が可能となります。
したがって、どのようなときでも増減額の請求ができるわけではありませんので注意が必要です。
また、裁判により賃料の値上げ・値下げをすることができる場合があります。
裁判で賃料変更を申し立てる場合いきなり訴訟を提起することはできず、まずは調停を申し立てる必要があります(調停前置主義)。
調停が不成立となった場合には訴訟を提起することができます。
裁判となった場合には裁判所は以下の事情を総合的に考慮して賃料の値上げ・値下げについて判断していきます。
ⅰ、土地もしくは建物に対する公租公課(税金)の増減
ⅱ、土地もしくは建物の不動産価格の上昇もしくは低下その他の経済事情の変動
ⅲ、近隣の土地もしくは建物の賃料の変動
(ⅴ)敷金の返還
上記で少し触れましたが、敷金とは不動産賃貸借の際にいかなる名目であるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で賃借人が賃貸人に交付する金銭のことを言います。
賃借人が賃料を滞納していたり、建物退去時の建物の原状回復が必要となる時には敷金から賃借人の負担額が差し引かれ、余りがあれば建物明け渡し時後にこれが賃借人に返還されます。
建物の賃貸借においては契約で原状回復は賃借人の負担とされているのが一般的ですが、返還金額が不当に低い場合は争うべきです。
立ち退き・明け渡し
「借主が家賃を支払わずに困っている」
「借主以外の人が勝手に部屋に住んでいる」
「近隣住民とのトラブルが絶えない借主に出て行ってもらいたい」
問題の多い賃借人に対しては、賃貸人として立ち退いてもらいたいと考えるのが自然でしょう。
とはいえ、強引に鍵を開けて部屋に入ったり、無理やり荷物を片付けたりという強硬手段に出ることは許されません。
事態が好転しない場合は、法的な手続きに沿って問題解決をしなければなりません。
不動産の賃貸人が不動産の賃借人に対して賃貸不動産の立ち退きや明け渡しを求める典型的なケースとして、賃借人が賃料を支払わず不動産の賃貸借契約を解除した場合があります。
賃貸人が賃借人の債務不履行に基づき不動産の賃貸借契約を解除したにもかかわらず賃借人がそこに住み続けた場合は、賃借人は不動産を法律上の原因なく不法に占拠していることになりますので、賃貸人はこの者に対して不動産の立ち退き・明け渡しをもとめることが可能です。
立ち退き・明け渡しは下記の流れで進めます。
(ⅰ)現地調査
実際に物件の調査を行い、事実関係を整理します。
(ⅱ)賃料の支払いの督促(内容証明郵便の送付)
賃料の滞納を理由として賃貸不動産からの立ち退き・明け渡しを求める場合には、まずは未払い賃金の支払いの催告をする必要があります。
催告は未払い賃料の支払いを求める旨の配達証明付内容証明郵便を賃借人に対して書面で送ることで行います。
(ⅲ)賃貸借契約解除の通知(内容証明郵便の送付)
未払賃料の支払いの催告をしたにも関わらずなお賃借人から賃料の支払いがない場合には、賃貸借契約を解除できるようになります。
賃貸借契約を解除するには、賃借人に対して賃貸借契約を解除する旨の通知を送付します。
なお、こちらの通知も配達証明付内容証明郵便で送付するようにしてください。
(ⅳ)占有移転禁止の仮処分
物の占有を現在の賃借人で固定するための手続きです。
これにより、明け渡し請求から免れられるリスクを事前に回避しておくことが可能です。
(ⅴ)賃料請求・建物明け渡し訴訟
賃貸借契約の解除により、賃借人は賃借していた不動産を使用する権利を失いますので、賃貸人はこれらの者に対して賃貸していた不動産から出ていくように請求できるようになります。
賃貸人からの立ち退き・明け渡しの交渉や請求に応じてくれない、あるいは賃借人が行方不明などといったような場合には、裁判所に訴訟を提起し判決を求めます。裁判所の判決が出てしまえば、債権の回収がしやすくなります。
(ⅵ)強制執行
裁判所から判決が出たにも関わらずそれらに応じない場合には、強制執行の手続きを採ります。
賃借人が賃貸不動産の立ち退き・明け渡しに応じてくれず、賃貸人がこの者に立ち退き・明け渡しを請求したい場合、賃貸人には絶対にやってはいけないご留意いただきたいポイントがあります。
立ち退き・明け渡し請求時には賃借人が立ち退きや明け渡しに応じないからといって、勝手に賃貸不動産の鍵を交換したり、賃貸不動産内にある私物を外に運び出すなどといった、いわゆる自力救済に及ぶことは禁止されています。
もしこのような行為に及んでしまった場合、賃借人から損害賠償請求を受けることや不法侵入などの犯罪行為に該当することになり、逆に罪に問われる可能性も十分考えられます。
したがって、賃借人が不動産の立ち退き・明け渡しに応じてくれないからといって無理やり追い出そうとすることは絶対にしないでください。
賃料回収
「家賃を支払うように何度も催促しているが、いっこうに支払ってもらえない」
「どのような手続きを踏めば確実に賃料を回収できるのか知りたい」
「借主が家財道具を残して何カ月も行方不明になってしまっている」
賃貸経営者が最も苦労する問題の一つが、賃借人からの賃料回収です。
たとえ賃料が回収できない状況だとしても、借主保護の法律があるためいきなり契約解除や明け渡しの手続きを取ることはできません。
賃貸人が強硬手段に出ることで、逆に賃借人から損害賠償を請求されてしまう危険もあります。
どうしても応じてもらえない場合には、賃料の回収のため未払い賃料の請求を法的な手続きによって行う必要があります。
(ⅰ)内容証明郵便の送付
まず、賃料不払いに関する内容証明郵便を送付し支払いを求めます。
正式な書面で働きかけることで相手に圧力を掛けることができます。
また、内容証明郵便の送達によって確実に賃料請求をしたことを証明できるので、後に裁判になった際の証拠として利用することが可能です。
(ⅱ)保証人に請求する
賃借人から賃料が支払われない場合には、保証人に対して賃料を請求します。
賃借人からの回収が困難な場合には、保証人に支払い義務がありますので請求が可能です。
(ⅲ)(支払督促や少額訴訟、強制執行など)法的措置を講じる
簡易裁判所から支払いを求める正式な書類を送付してもらう「支払督促」、60万円以下の賃料の支払いを請求する裁判を簡易・迅速・低廉な価格で行うことができる「少額訴訟」、相手方の財産を差し押さえる「強制執行」などの法的措置を取ります。
(ⅳ)明渡し請求を行う
賃料の回収が不可能だと判断される場合には、賃貸人は契約を解除し賃貸不動産の明渡し請求を行います。
正しい手続きを取らずに強引に賃料を回収しようとしてしますと、逆に訴えられてしまうおそれがあります。
法律に基づいて慎重に進める必要があります。
賃料回収を弁護士に依頼をしていただくことで、賃借人との交渉はもちろんのこと、書類の作成から法的な手続きの代行までトータルしたサポートをさせていただきます。
弁護士が内容証明郵便を発送するだけで支払に応じてくる賃借人も多いですし、訴訟や明渡し断行の強制執行を行うときにも弁護士による法的サポートが必須です。
また、賃料回収においては弁護士が交渉にあたることで、賃借人に心理的な圧力を掛けることができ、支払いに応じてもらいやすくなるというメリットがあります。
不動産トラブルを弁護士に依頼する必要性
不動産トラブルといってもそのトラブル内容は多岐に渡ります。
例えば、家賃滞納も一月程度であればトラブルには発展しませんが長期間にわたった場合にはかなりの金額を請求する必要があります。
このような不動産トラブルの悪化防止のためには弁護士を介入させた早期の対応が必要不可欠であるといえます。
当事務所は不動産トラブルに関する交渉のプロフェッショナルとして、できるだけ早期に依頼者の納得する形での解決を志しております。
当事務所に在籍する弁護士は不動産分野に詳しく、賃料回収に関して多数経験しておりますし、農地に関する法律相談や不動産の相続に関するご相談も多数経験しております。
また弁護士には税理士・土地家屋調査士・不動産鑑定士などの専門家とのネットワークがありますので、必要に応じてそれらの専門家と連携して手続きを進めてもらうことができます。
不動産でお困りのことがございましたら、不動産トラブルの悪化防止または未然予防のためにもまずはお気軽にご相談くださいませ。
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