企業が刑事事件を起こしてしまったら – 適切な初動対応と事前対策を弁護士を解説
企業が刑事事件に関わってしまった(巻き込まれてしまった)場合の対応方法や、具体的な刑事事件の種類、予防策について詳しく解説します。
また、企業がリスクを最小限に抑えるために弁護士を活用するメリットや、顧問弁護士の重要性についても触れています。
事前の備えが企業の存続を左右することもあるため、適切な対策を講じることが重要です。
企業が刑事事件に関わった際にやらなければならないこと
捜査機関やマスコミへの対応
企業が刑事事件に関与した場合、警察や検察などの捜査機関からの事情聴取や捜査に対応しなければなりません。
例えば、従業員が業務上横領を行った場合、会社の経理データや内部文書の提供を求められることがあります。
また、事件が社会的に注目されると、マスコミが取材に訪れる可能性もあります。不適切な対応をすると、企業の信用を損なう恐れがあるため、弁護士と連携しながら慎重に対応することが求められます。
社内調査
刑事事件が発生した場合、まずは社内調査を実施し、問題の原因や関与者を特定することが重要です。
例えば、社内の資金が不正に流用された場合、どの部署でどのような手続きが行われていたのかを詳細に調査する必要があります。調査結果を基に、適切な内部処分や再発防止策を講じることで、法的責任の軽減につなげることが可能です。
裁判への出席および書類作成
刑事事件が裁判に発展した場合、企業の代表者や関係者が出廷しなければならないことがあります。また、裁判で使用される証拠書類の準備や、企業としての公式な見解をまとめた書類の作成も必要になります。
これらの手続きは法律的な専門知識を要するため、弁護士のサポートを受けながら進めることが重要です。
ポイント:顧問弁護士を事前につけておくことをお勧めします
企業の法的リスクを最小限に抑えるためには、顧問弁護士のサポートを受けながら、日常的な業務運営の適正化を図ることが重要です。例えば、社内規程の作成・見直し、契約書のチェック、労務トラブルの予防など、企業が直面するさまざまな法的リスクに対して事前に対応策を講じることが可能になります。
企業が刑事事件に巻き込まれると、社会的信用が大きく損なわれ、経営にも深刻な影響を及ぼします。リスクを回避するためには、日頃からコンプライアンスを重視し、法令遵守を徹底することが不可欠です。顧問弁護士を活用しながら、社内のルール整備や従業員教育を進めることで、法的トラブルの発生を防ぎましょう。
企業に関連する刑事事件の例
機密情報の持ち出し・私的利用
従業員が退職後に機密情報を競合他社に持ち出す事例は後を絶ちません。
特に、顧客情報や技術データの流出は企業にとって大きなダメージとなります。企業秘密保持契約(NDA)を締結し、秘密情報を秘密情報として他の情報と分けてアクセス制限をするなどして管理し、情報を持ち出したことがわかるアラートなどを設定します。それでも違反して持ち出した従業員には法的措置を取ることになります。
また、従業員が業務上知り得た顧客の個人情報を私的に利用し、プライベートな人間関係を築こうとするケースが問題視されています。例えば、カスタマーサポート担当者が顧客の連絡先を無断で取得し、個人的な連絡を試みるといった行為は、企業の信頼を損なうだけでなく、個人情報保護法違反に該当します。
このような行為は、被害者である顧客に精神的な負担を与えるだけでなく、企業に対する訴訟リスクや社会的信用の低下を招く要因となります。そのため、従業員への適切な教育と、社内規程の明確化が必要不可欠です。
製品の欠陥・不備等による業務上過失致死傷罪
製品の欠陥が原因で消費者に被害が発生した場合、企業の管理責任が問われることがあります。例えば、自動車メーカーがブレーキの欠陥を知りながらリコールを怠った場合、業務上過失致死傷罪に問われる可能性があります。
品質管理において不正行為が行われないような体制を整え、万が一のリスク発生時には速やかに対応することが求められます。
廃棄物の不適切な処理(不法投棄)
企業が産業廃棄物を適切に処理せず、不法投棄を行った場合、廃棄物処理法違反として刑事責任を問われる可能性があります。不法投棄は単なる違反ではなく、環境破壊や地域社会への悪影響をもたらし、企業の社会的信用を大きく損ないます。
場合によっては以下のような法的リスクが生じます。
- 刑事責任: 廃棄物処理法に基づき、法人および関与した経営陣や従業員に罰則が科される。
- 行政処分: 事業の一部停止や営業許可の取り消しといった処分を受ける可能性。
- 罰金・賠償金: 数百万円から数千万円の罰金が科せられるほか、環境回復のための賠償責任を負うことも。
企業としては、産業廃棄物の適切な処理を徹底し、不正行為を防ぐための社内体制を整えることが求められます。
虚偽の広告や偽装行為
企業が製品の品質や性能を偽り、消費者を欺くような広告を行った場合、景品表示法違反となります。このような行為は、消費者からの信用を損なうだけでなく、行政処分や刑事罰の対象にもなり得ます。
例えば、食品業界では、外国産の食材を「国産」と偽って販売したり、品質の低い商品を高級品と誤認させる表示を行うケースが問題視されています。これにより、企業は消費者庁や公正取引委員会から厳しい指導を受けるだけでなく、社会的信用を失う可能性があります。
また、建材や電化製品などが安全基準を満たしていないにも関わらず、「安全性が確認済み」などと表示することは、重大な法令違反です。過去には、自動車メーカーが排ガス試験データを改ざんし、大規模なリコールと多額の罰金が科された事例もあります。
企業は、広告や商品の表示に関して社内チェック体制を強化し、適正な表現を用いることが不可欠です。消費者保護の観点からも、誤解を招く表現や科学的根拠がない主張を避け、コンプライアンス意識を高めることが求められます。
脱税
法人税や消費税の申告を意図的に行わなかった場合、脱税として刑事責任を問われる可能性があります。税務調査の際、不適切な取引や架空経費が発覚すると、重加算税の適用や刑事罰が科されることがあります。適切な税務申告を行い、専門家のサポートを受けながら管理を徹底することが求められます。
企業刑事事件への対策・事前にできること
社内体制や資金・資材管理の厳格化
企業内部での不正を防ぐためには、資金や資材の管理等を厳格化することが必要です。。
コンプライアンス研修等による啓蒙活動
従業員へのコンプライアンス研修を実施し、法令遵守の意識を高めることが求められます。
特に、管理職にはリスク管理の重要性を理解させ、問題が発生しないよう予防策を講じることが必要です。
不正を早期かつ匿名で報告できる仕組み(ホットライン)の構築
社内での不正を早期に発見するためには、内部通報制度の整備が有効です。
匿名で通報できるホットラインを設置することで、従業員が不正を見つけた際に安全に報告できる環境を作ることが重要です。
企業刑事事件を弁護士に相談するメリット
社内調査や捜査機関対応を弁護士に依頼できる
企業が刑事事件に関与した場合、まず必要なのは社内調査の実施と捜査機関への適切な対応です。例えば、従業員が業務上の背任行為を行い、それが刑事事件に発展した場合、企業は内部で証拠を収集し、事実関係を明らかにする必要があります。しかし、法的な観点からどこまで調査を進めるべきか、どのような情報を外部に提供するべきかといった判断は、専門的な知識が求められます。
弁護士に依頼することで、
- 企業の利益を守りつつ、公正な調査を進めることができる
- 捜査機関との交渉や対応を適切に行い、リスクを最小限に抑えられる
- 不適切な証言や過剰な情報開示による不利益を避けることができる
といったメリットがあります。特に、初動対応のミスは企業にとって大きな損失をもたらすため、弁護士の専門知識を活用することが重要です。
違法行為をした従業員への処分を相談できる
企業内で違法行為を行った従業員がいた場合、その処分を適切に行わなければ、後に企業が不当解雇などの訴訟リスクを抱えることになります。例えば、従業員が機密情報を持ち出したケースでは、即座に解雇するのではなく、
- 就業規則に基づいた懲戒処分が適用できるか
- 証拠が十分に揃っているか
- 労働法や判例を踏まえた上で適切な処分か
といった点を慎重に判断する必要があります。弁護士に相談することで、これらのポイントを踏まえた適正な処分を実施でき、後の法的リスクを回避できます。
レピュテーションリスクを考慮した広報対応が可能
刑事事件に関与した企業は、マスコミやSNSでの批判にさらされる可能性が高く、対応を誤ると企業のブランドイメージに深刻なダメージを与えます。例えば、従業員が贈収賄事件に関与した場合、企業としてどのように対応し、社会に対してどのようなメッセージを発信するかが重要になります。
弁護士と連携することで、
- 事実関係を正確に伝えつつ、企業の信頼を損なわない声明を作成できる
- メディア対応の方針を明確にし、誤った情報が拡散されるのを防げる
- 訴訟に発展した場合のリスクを考慮しながら、慎重に広報戦略を立てられる
といったメリットがあります。企業のレピュテーションを守るためにも、広報対応に関しては専門家の意見を取り入れることが不可欠です。
顧問弁護士を活用しましょう
刑事事件の発生を未然に防ぐため、また発生時に迅速に対応するためには、顧問弁護士の活用が有効です。顧問弁護士がいることで、
- 日常的な法務リスクの相談ができ、予防策を講じやすい
- 事件が発生した際に即座に対応し、企業のダメージを最小限に抑えられる
- 社内規則や契約の適正化を進め、不正行為を未然に防ぐ体制を構築できる
といった利点があります。特に、刑事事件に発展しやすい業界(金融、不動産、建設、製造業など)では、定期的に企業法務の専門家と連携することで、リスクを大幅に軽減できます。
企業の持続的な成長のためには、コンプライアンスの徹底が不可欠です。顧問弁護士を活用し、適切な法務対策を講じることで、企業の安全と信用を守りましょう。
企業法務に関するご相談は西村綜合法律事務所まで
当事務所では、企業の刑事事件対応に関するご相談を承っております。迅速かつ的確な対応で、企業のリスクを最小限に抑えます。ぜひ一度ご相談ください。