モンスターペイシェント(迷惑患者)に法的措置は可能?病院側の対応ポイントを解説【弁護士監修】

本記事では、医療機関におけるモンスターペイシェント(迷惑行為を繰り返す患者)への対応について、法的観点からの選択肢を詳しく解説します。診療拒否の可否、刑事・民事の法的対応、初動対応で重要なポイント、そして顧問弁護士の活用方法など、病院側が被害を最小限に抑えつつ、院内の安全と信頼を守るために必要な情報をまとめました。

モンスターペイシェントとは?問題の本質と背景を整理

医療機関で行われる迷惑行為(暴言・居座り・度重なるクレーム等)

モンスターペイシェントとは、医療現場において社会通念を逸脱する要求や迷惑行為を繰り返す患者を指します。

代表的な行為には、暴言・恫喝、長時間のクレーム・居座り、根拠のない治療批判、受付職員への人格攻撃などが挙げられます。診療の妨害行為にとどまらず、業務の停滞、職員のメンタル不調、他の患者への悪影響など、医療機関全体に深刻な損害をもたらすことも少なくありません。

医療機関が抱えるリスク(スタッフ離職・患者離れ・訴訟リスク)

モンスターペイシェントの存在は、単なる苦情対応の範疇にとどまらず、経営上の大きなリスクを抱えています。

看護師や受付スタッフの離職、他の患者の通院控え、インターネット上の悪質な口コミ拡散などによって、信頼が著しく損なわれる可能性があります。さらに、対応を誤れば「医療機関側の対応が不適切だった」として逆に訴訟リスクを抱えることもあるため、慎重かつ計画的な対応が不可欠です。

顧問弁護士の存在を周知することで牽制・抑止に繋がります

職員が過度なストレスを感じる前に、病院全体としてモンスターペイシェントへの毅然とした姿勢を示す必要があります。

例えば「顧問弁護士を通じて対応を検討中です」と伝えることで、迷惑行為のエスカレートを抑制できるケースもあります。顧問弁護士の存在自体が「一線を超えれば法的措置を取る」というメッセージとなり、対応を優位に進めやすくなる点で非常に有効です。

モンスターペイシェント(迷惑行為をする患者)に法的措置は可能?

診療拒否の可否とリスク(医師法19条1項との関係)

医師法19条1項は、診療を求められた際に正当な理由なくこれを拒んではならないと定めています。

ただし「医療行為の継続が困難」と判断される合理的な事情があれば、診療拒否は許容される場合があります。

迷惑行為が継続的・執拗なものであれば、医療現場の安全確保を理由として診療契約の解除が正当化される余地はあります。実際の可否判断には法的知識が求められるため、弁護士への事前相談が重要です。

名誉毀損・業務妨害・強要・脅迫など刑事事件化できる場合

モンスターペイシェントの中には、名誉毀損(誹謗中傷)、威力業務妨害(虚偽通報やSNS投稿)、脅迫・強要(診療を条件に金品を要求)など、刑法に抵触する行為を行う者もいます。

このような場合、被害届や告訴など刑事手続を進めることで、捜査機関による介入が可能となります。状況によっては、刑事手続の前に警告書・内容証明を用いたけん制が有効な場合もあります。

施設内暴力・器物破損・ストーカー行為への民事・刑事対応

患者による暴力行為、院内設備の破壊、医師やスタッフへの執拗な付きまとい(ストーカー行為)などがあった場合には、刑事告訴に加えて民事上の損害賠償請求を検討することも可能です。

これらの行為に対する法的措置は、証拠の確保が前提となります。音声記録・監視カメラ・被害報告書などを早い段階で準備することで、後日の立証や請求に役立ちます。

トラブルを最小限に抑える初動対応のポイント

応対マニュアル・対応基準の整備と周知

職員が迷惑患者に対して適切な対応を取れるよう、院内マニュアルや対応ルールを整備しておくことが重要です。

例えば、「一定時間以上の対応はマネージャーにエスカレーション」「暴言が出た場合は録音開始」などの具体的な基準があれば、職員の心理的負担も軽減されます。これにより、個人の裁量に頼らない、組織的な対応が可能となります。

音声記録・映像記録など「証拠化」の重要性

法的手続きを視野に入れる場合、最も重要となるのが証拠の確保です。

診療室や受付に録音機能付きのシステムを導入する、記録用メモや経過表を残すなど、日常的に「証拠を残す意識」を持つことが求められます。録音があることで、後から事実関係を冷静に検討でき、第三者機関(裁判所・警察)への説明もスムーズになります。

1人だけで対応せず、複数人で対応するようにする

迷惑行為への対応は、原則として1人で行うべきではありません。

必ず複数名で対応し、証人を確保する形をとることで、トラブルの深刻化や感情的対立を防ぐことができます。また、患者に対して「院として対応している」ことを示すことで、行動を抑止する効果も期待できます。

放置するとどうなる?モンスターペイシェント対応の失敗リスク

モンスターペイシェントによる迷惑行為を「多少の我慢で収まる」「大事にしたくない」といった理由で放置することは、医療機関全体に深刻な影響を及ぼす危険があります。これは単なる個別トラブルではなく、病院経営・職員の安全・他の患者への影響といった、組織的な損失に直結します。

ここでは、放置によって起こり得る2つの重大リスクについて解説します。

他の患者の離反・職員の離職に直結

モンスターペイシェントの存在を放置した場合、まず直撃するのは「院内の空気」と「職員のメンタル」です。執拗なクレーム、暴言、威圧的な態度が繰り返されれば、受付や看護師、医師までもが精神的に疲弊し、「辞めたい」「関わりたくない」という空気が広がります。実際、スタッフの定着率低下に繋がった事例も見受けられます。

さらに、待合室や診療室での迷惑行為は、周囲の患者にも不快感や不信感を与え、「この病院、大丈夫なのか」と感じて転院や予約キャンセルが増えることもあります。こうした「見えにくい離反」は病院の収益や地域での評判をじわじわと蝕み、経営への直接的なダメージとなり得ます。

対応ミスが逆に訴訟リスクになることも

モンスターペイシェントへの対応には、感情的な反応や独断的な対応が逆効果となる場合があります。例えば、病院側が一方的に診療を拒否したと受け取られると、医師法第19条1項違反(正当な理由なき診療拒否)を主張されるおそれがあります。また、対応中に不適切な発言をしたとされて、逆に名誉毀損や人格権侵害で訴えられる可能性もあります。

こうしたリスクは、法的根拠のない対応や、対応記録の不備によって増大します。つまり、対応しないリスクと、誤った対応によるリスクの両方が常に存在するのです。だからこそ、初期の段階から法的な視点に基づいた冷静かつ記録重視の対応が求められます。

病院・クリニック運営に顧問弁護士をつけるメリット

警告書・内容証明などの法的措置をすばやく準備できる

迷惑行為に直面したとき、スピーディーな初動対応がカギを握ります。

顧問弁護士がいれば、事前のやり取りを踏まえた的確な警告書や内容証明の作成が可能となり、トラブルを大事にせずに収束へ導くことができます。迷惑患者に対して一定の法的プレッシャーを与えることで、再発やエスカレートを防ぐことにも繋がります。

診療契約の解除・出入禁止措置など「対応判断」を事前に相談できる

患者との関係を打ち切る判断を誤ると、逆に病院側が訴訟リスクを抱える恐れもあります。

顧問弁護士がいれば、個別事情を踏まえた上で「どのようなプロセスで診療契約を解除すべきか」「警察への相談タイミングはいつか」などを事前に相談できます。法的リスクを回避しつつ、安全な診療環境を維持することが可能になります。

院内の安心・安全を守るための仕組みづくりをサポートできる

弁護士は単に“事件対応”をするだけでなく、再発防止の観点から職員教育・証拠管理体制・報告フローなどの整備にも貢献します。

顧問契約を通じて定期的にミーティングを行い、病院全体のリスクマネジメント体制をブラッシュアップすることで、安心して働ける医療現場を実現できます。

まとめ|迷惑行為に“慣れる”のではなく、法的対応を選択肢に

他の患者や職員の安心・安全を最優先に

病院は、安心して通院できる環境と、スタッフが安心して働ける職場であるべきです。モンスターペイシェントによる迷惑行為を“仕方ないもの”として放置することは、他の患者やスタッフの安全・満足度を損ねる結果につながります。現場に任せきりにせず、院全体としての毅然とした姿勢が求められます。

適切な対応を弁護士へ相談しましょう

問題が深刻化する前に、法的観点からのアドバイスを得ておくことが、組織として最も合理的な対策です。

西村綜合法律事務所では、地元岡山の医療機関の皆様に寄り添いながら、迷惑行為への対応をサポートしております。初回相談は無料オンライン面談にも対応しておりますので、現場でお困りの方はぜひ一度ご相談ください。法的知見と経験をもとに、院内の安心・安全を取り戻す支援をいたします。

 

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