諭旨解雇をするには?懲戒解雇との違いや法的な注意点を弁護士が解説

この記事では、「諭旨解雇」の手続きや注意点、懲戒解雇との違い、諭旨解雇を進める際の条件や法的対応のポイントについて詳しく解説します。さらに、諭旨解雇を検討する企業様が直面するよくある疑問や課題についても触れています。また、弁護士を活用するメリットについても具体的にご紹介しています。諭旨解雇に関する知識を深め、適切な手続きを進めるための参考にしていただければ幸いです。

諭旨解雇の手続きと注意点

諭旨解雇ってそもそも何?

諭旨解雇とは、使用者が労働者に退職を勧告し、労働者に退職願を提出させたうえで解雇するまたは退職扱いとすることをいいます。懲戒処分の一つであり、従業員に対して自主退職を促す形での解雇を指します。この処分は、企業の規律を維持しながら、従業員に退職という形で責任を取らせるために用いられることが多いです。懲戒解雇よりも柔軟な処分として位置づけられる一方で、法的な対応や手続きには慎重さが求められます。

諭旨解雇を検討する際は就業規則を事前に確認しましょう

諭旨解雇を実施する場合、まず就業規則にその根拠が明記されているかを確認する必要があります。就業規則に諭旨解雇の基準や具体的な手続きが明示されていなければ、従業員に不当解雇と主張される可能性があります。したがって、事前に就業規則の内容を精査し、不足があれば適切な改訂を行うことが重要です。

従業員には必ず弁明の機会を与えましょう

諭旨解雇を進める際には、対象となる従業員に弁明の機会を与えることが求められます。これにより、公平性が担保されるだけでなく、法的リスクの軽減にもつながります。具体的には、面談や書面を通じて従業員の意見を聴取することが推奨されます。

諭旨解雇に応じない場合は懲戒解雇もご検討ください

従業員が諭旨解雇に応じない場合、次のステップとして懲戒解雇を検討する必要があります。ただし、懲戒解雇は法的ハードルが高く、手続きに不備があると不当解雇と判断されるリスクがあります。そのため、慎重な対応が求められます。

顧問弁護士の活用を強くおすすめいたします

諭旨解雇や懲戒解雇の手続きは、企業にとって大きなリスクを伴う可能性があります。顧問弁護士を活用することで、法的な問題点を事前に洗い出し、適切な手続きが進められます。弁護士のアドバイスを受けることで、安心して対応することができます。

諭旨解雇と懲戒解雇の違い

前提:懲戒解雇と近い性質を持った厳しい処分

諭旨解雇は、懲戒解雇に次ぐ厳しい懲戒処分として位置づけられていることが多いです。ただし、対象従業員依願退職のような形式をとる点で、懲戒解雇とは異なる側面があります。

事由の悪質性が懲戒解雇ほどではない

諭旨解雇は、懲戒解雇ほどの悪質性がない場合に適用されることが一般的です。例えば、勤務態度の悪化や規律違反があっても、重大な犯罪行為に該当しない場合などが該当します。

退職金等の条件が懲戒解雇より優遇されやすい

諭旨解雇では、懲戒解雇と比較して退職金の支払いなどの条件が優遇される場合があります。こ労働者に退職願を提出させる誘因とするため、退職金が支給される場合もあります。これにより従業員の合意を得やすくなることが特徴です。

法的な要件は懲戒解雇と同等になる

一方で、諭旨解雇であっても、法的には懲戒解雇に関する法規制を受けます。適切な手続きを踏まずに行われた場合、後々のトラブルに発展する可能性があります。

諭旨解雇が認められる(成立する)ための3つの条件

就業規則で取り決められていること

諭旨解雇を行うには、まず企業の就業規則に諭旨解雇の基準や手続きが明確に記載されている必要があります。

例えば、「重大な規律違反や業務上の重大な過失があった場合に諭旨解雇とする」という規定がなければ、従業員より「解雇は不当だ」と主張される場合があり、法的なトラブルに発展するリスクが高まります。曖昧な規則ではなく、具体的な基準を記載することで、解雇の正当性が担保されます

懲戒処分について従業員が把握していること

従業員に対して、懲戒処分の内容や基準を事前に周知しておくことは、トラブル防止の観点からも重要です。例えば、定期的な社員研修や入社時のオリエンテーションで懲戒処分の基準について説明し、また、就業規則を全社員が閲覧できるようにすることが有効です。こうした取り組みがなければ、従業員は「そんな処分があるとは知らなかった」と不満を募らせる可能性があります。透明性を確保することが重要です。

客観的に合理的であり社会通念上相当であること(人事権の濫用ではないこと)

諭旨解雇が成立するためには、客観的な合理性と社会通念上の妥当性が求められます。

例えば、ある従業員が経理業務中に会社の資金を私的流用した場合、その行為の重大性は明白であり、解雇が正当化される可能性が高いでしょう。

しかし、軽微なミスを理由に解雇を行った場合、「人事権の濫用」として不当解雇と判断されるリスクがあります。処分に足る証拠や具体的な状況がわかる記録を確保することが不可欠です。

諭旨解雇を弁護士に相談するメリット

諭旨解雇が妥当であるかアドバイスを受けられる

弁護士に相談することで、諭旨解雇が法的に妥当かどうかを確認することができます。

懲戒処分を検討する際、弁護士が事実関係を整理し、処分の適切性についてアドバイスを提供することで、不当解雇として主張されてしまうリスクを事前に排除できます。

法的な要件に基づいて対応できる

諭旨解雇に関する法的な要件は複雑であり、誤った手続きは企業に大きな損害を与える可能性があります。弁護士は必要な書類の作成や手続きの進行をサポートし、適切な対応を実現します。例えば、解雇理由を記載した通知書の内容やタイミングについて、法的基準を満たす形で進められるようアドバイスを行います。

処分後のトラブルを予防できる

諭旨解雇後に従業員とのトラブルが発生する可能性はゼロではありません。

例えば、「解雇理由が納得できない」「これは不当解雇だ」と主張されて裁判に持ち込まれるケースもあります。弁護士のアドバイスを受けて適切に処分を進めることで、後々の紛争を未然に防ぐことが可能です。

万が一の裁判時にも企業側をサポートできる

万が一、従業員とのトラブルが裁判に発展した場合でも、弁護士が企業の代理人としてサポートします。

懲戒処分の正当性を証明するための証拠提出や法廷での主張を通じて、企業の立場を守ることが可能です。

諭旨解雇に関するよくあるお悩み・ご相談

退職金は支払わないといけないのですか?

諭旨解雇の場合、退職金を支払うかどうかは就業規則や従業員との合意内容によると言えます。

そのため、就業規則に「諭旨解雇の場合は退職金を減額又は不支給とする」と明記されていれば、その通りの対応が可能です。弁護士に相談することで、具体的な対応策を提示してもらえます。

雇用保険においてはどのような扱いになりますか?

諭旨解雇の場合、雇用保険の給付に影響を与える可能性があります。例えば、解雇理由が「重大な過失」などの場合、失業手当の給付が一定期間停止されることがあります。弁護士に相談することで、具体的な対応方法や従業員への説明の仕方についてアドバイスを受けることができます。

有給消化は必要ですか?

諭旨解雇の際、有給休暇を消化させる必要があるかどうかはケースバイケースです。例えば、「解雇日までに消化させることが望ましい」という状況もあれば、「賃金で補填する」という対応が適切な場合もあります。

法的なアプローチを理解しながら進めるためには、弁護士の助言が役立ちます。

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