ローパフォーマー社員って?能力不足の部下・職員に会社として対処するには
この記事では、ローパフォーマー社員の特徴や原因、そして企業が取るべき対策について詳しく解説します。
ローパフォーマー社員とは何か、なぜ発生するのか、どのように対処すべきかを理解することで、企業は労働環境を改善し、生産性を向上させることができます。また、違法・不当な退職勧奨を避けるための注意点についても説明します。
ローパフォーマー社員とは
ローパフォーマー社員とは、労働契約上、期待される業務の成果を十分に発揮できない社員を指します。
このような社員は、業務に対する理解不足やスキルの欠如、モチベーションの低下などが原因で、他の社員に比べて生産性が低く、企業の全体的な業績に悪影響を及ぼします。
ローパフォーマー社員の存在は、チームの士気を下げるだけでなく、他の社員の負担を増やすことにもつながります。
ローパフォーマー社員の特徴
業務命令や指示を理解できない(曲解する)
ローパフォーマー社員は、上司からの業務命令や指示を正確に理解しようとしなかったり、曲解することがあります。
業務の進行が滞り成果が出ない他、関係部署の社員がローパフォーマー社員の業務を巻き取ることで負担増加につながる場合もあります。
言い訳するが行動しない
こうした社員は、失敗や問題が発生した際に言い訳ばかりをする一方で、改善のための行動を起こさない傾向があります。
例えば、「忙しくてできなかった」や「他の仕事があった」といった言い訳を繰り返し、実際には問題を解決するための具体的なステップを踏まないことが多いです。
ケアレスミスを繰り返す
ローパフォーマー社員は、基本的な業務においてもケアレスミスを繰り返しがちです。
細かいミスだけでは無く、
- 重要な書類やメールの送り先を間違える
- 発注数の桁を間違える
- 自身で見直しやチェックを実施しない
といった、仕事の質およびやり方に重大な問題があるケースもあります。
熱意・やる気が無い
こうした社員は、仕事に対する熱意ややる気が欠けていることが多いです。
積極的に業務に取り組む姿勢が見られず、常に受け身の態度で仕事をすることが多いです。例えば、新しいプロジェクトに対しても消極的で、他の社員に頼りきりになることがあります。
やはり他の社員に迷惑・負担をかけるようなタイプであるため、会社全体のモチベーションに悪影響を及ぼしていると考えられます。
ローパフォーマー社員が発生してしまう理由
ローパフォーマー社員が発生する原因は、大きく分けて本人に原因がある場合と、会社に原因がある場合の2つに分類されます。それぞれの原因について詳しく掘り下げていきます。
本人に原因がある場合
本人に仕事上の目標が無い
ローパフォーマー社員の中には、仕事に対する明確な目標がないためにモチベーションが低下している人もいます。
具体的なキャリア目標や自己成長のビジョンがないため、日々の業務に対して消極的な姿勢を取ってしまいます。このような社員は、何のために仕事をしているのかという意味を見出せず、結果としてパフォーマンスが低下します。
目標がないために自発的に行動することが少なく、指示待ちの状態が続くことが多いです。
必要な知識やスキルを習得できていない
業務に必要な知識やスキルが不足している場合、期待される成果を出すことが難しくなります。
特に、新しい業務に対する理解が浅かったり、基本的なスキルが欠けていたりする場合、効率よく仕事を進めることができず、ミスが増えることがあります。
このため、業務を遂行する上で基本的なスキルが欠けている社員は、ローパフォーマーとなりやすいです。さらに、自己研鑽を怠り、新しい知識や技術を習得する意欲が低い場合、現状維持に甘んじることになり、結果として業務の質が低下します。
会社に原因がある場合
採用基準が曖昧
採用基準が曖昧であると、企業の求めるスキルや特性に合わない社員を採用してしまうことがあります。
具体的には、採用時に適性検査やスキルチェックが不十分であったり、採用担当者が業務内容を十分に理解していなかったりする場合です。
その結果、採用された社員が業務に適応できず、ローパフォーマーになることがあります。採用段階でのミスマッチは、後々の業務遂行において大きな障害となり、本人にとっても企業にとっても不利益となります。
評価基準が不明確
評価基準が不明確な場合、社員は自分の業務がどのように評価されるのかを理解できず、モチベーションが低下します。
明確な評価基準がないと、努力が報われないと感じたり、評価が不公正であると感じたりすることがあります。これにより、業務の質が低下し、ローパフォーマーが生まれやすくなります。
社員は自分の目標や期待値が分からないため、何を目指して働けば良いのかが不明確になり、生産性が低下します。
教育・研修が整っていない
適切な教育や研修が行われていない場合、社員は必要なスキルや知識を習得する機会が得られません。
これにより、業務において成果を出せず、ローパフォーマーとして扱われることになります。
新入社員に対する初期研修が不十分であったり、継続的なスキルアップのための研修制度が整っていなかったりする場合、社員は業務に必要な知識やスキルを身につけることができません。結果として、業務の効率や質が低下し、ローパフォーマーとして認識されることになります。
ローパフォーマー社員に対して企業側が取るべき行動
改めて目標設定を明確に実施する
ローパフォーマー社員には、具体的で明確な目標を設定することが不可欠です。
目標は定量的なものであると同時に、達成可能な範囲で設定することが重要です。例えば、売上目標やプロジェクトの進行状況など、具体的な数値や期限を設けることで、社員は自分が何を達成すべきかを明確に理解することができます。さらに、目標達成に向けた具体的な計画を立て、定期的に進捗を確認することで、社員のモチベーションを維持しやすくなります。
研修や教育を提供する
ローパフォーマー社員が抱える問題の一つに、必要な知識やスキルの不足があります。
これを解決するために、企業は適切な研修や教育の機会を提供する必要があります。例えば、新入社員向けの基礎研修、中堅社員向けのスキルアップ研修、リーダーシップ研修など、社員のキャリアステージに応じた研修プログラムを用意することが効果的です。また、eラーニングや外部セミナーの受講を奨励することで、社員が自発的に学習し、スキルを向上させる環境を整えることも重要です。
退職勧奨を行う
研修や教育、目標設定を通じても改善が見られない場合や、業務に大きな支障をきたす場合には、退職勧奨を行うことも検討する必要があります。
退職勧奨は、社員に自主的な退職を促す方法であり、法的リスクを最小限に抑えつつ問題を解決する手段です。退職勧奨を行う際には、退職金の上乗せや再就職支援などの条件を提示し、社員が納得の上で退職に同意するように努めることが重要です。また、退職勧奨を行う過程での記録をしっかりと残し、法的トラブルを未然に防ぐことも必要です。
違法・不当な退職勧奨にならないように要注意!!
不適切な退職勧奨は違法や不当とみなされ、不就労期間中の賃金を支払ったうえで、復職となってしまう場合もあります。
必要以上な回数・時間で行わないようにしましょう
日常的に退職を勧める発言を行ったり、毎週のように退職に関する面談を設定することは、社員に対するハラスメントとなりえます。。適切な頻度と時間での面談を心掛け、社員が冷静に考えられる環境を提供することが重要です。
高圧的・暴力的な言動は避けましょう
退職勧奨は、冷静かつ丁寧な言葉遣いで、相手の意見を尊重しながら進めることが大切です。具体的には、「退職を検討していただけませんか?」といった柔らかな表現を用い、社員が納得して判断できるように配慮する必要があります。
面談の内容を証拠として残しておきましょう
退職勧奨の面談内容を詳細に記録し、証拠として残しておくことは、後々のトラブルを防ぐために非常に重要です。記録には、面談の日付、参加者、話し合った内容、提示した条件などを含めると良いでしょう。
採用基準を明確なものにする
今後、ローパフォーマー発生を防ぐためには、採用基準を明確に設定することも重要です。
採用基準が曖昧であると、企業の求めるスキルや特性に合わない社員を採用してしまうリスクが高まります。
そのため、職務内容に応じた適性検査やスキルチェックを導入し、求める人材像を明確にしたうえで採用活動を行うことが求められます。また、採用プロセス全体を見直し、面接官のトレーニングを行うことで、適切な人材を見極める能力を向上させることも重要です。
人事労務のお悩みは西村綜合法律事務所へご相談ください
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