いじめが発覚した際の学校側の対応を弁護士が解説
学校関連のお問合せにつきましては、当事務所は学校側に注力しておりますので、保護者側・教員側(学校側が相手になるケース)のご相談は原則としてお受けできません
いじめへの対応にお悩みの学校関係者の方は多いでしょう。
いじめの定義は広がっており、従来いじめと捉えられていなかった行為がいじめに該当するケースも少なくありません。
いじめが発生すると、加害者のみならず、学校側にも損害賠償責任が発生する可能性があります。被害を最小限にとどめるために、学校として適切な対応をとるのが重要です。
本記事では、
- いじめにまつわる学校側の責任・義務
- いじめが発覚した際に学校がとるべき対応
- いじめ問題を弁護士に相談するメリット
などについて解説しています。
いじめへの対応にお悩みの学校関係者の方は、ぜひ最後までお読みください。
いじめにまつわる学校側の責任・義務
学校は、いじめ防止のために必要な措置をとらなければなりません。十分な対応をとらないでいると、学校に損害賠償責任が発生するケースもあります。
まずは、いじめ防止対策推進法の内容や学校が負う責任など、いじめの法的な位置づけから解説します。
いじめ防止対策推進法
いじめ防止対策推進法は、2013年に制定された法律です。2011年に発生した大津市でのいじめ自殺事件が大きな社会問題となり、法整備が進められました。
いじめ防止対策推進法では、いじめの定義や関係者の責務などが定められています。
いじめの定義
いじめ防止対策推進法2条1項では、法律で初めていじめの定義が示されています。
この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
文部科学省によるかつての定義では「自分より弱いものに対して一方的に」「継続的に」「深刻な苦痛」といった限定が加えられていました。いじめ防止対策推進法では限定する文言が入っておらず、いじめの範囲は広くなっています。
いじめに該当する行為の例としては、以下が挙げられます。
- 冷やかし、からかい、悪口
- 仲間外れ、無視
- ぶつかる、叩く、蹴るなどの暴行
- 金品を隠す、盗む、壊す、捨てる
- ネット上での誹謗中傷
従来であれば、悪意のない冷やかしなどは、いじめとして把握されづらかったでしょう。しかし現在の定義では、対象となった児童・生徒が苦痛を感じていれば、いじめに該当し得ます。事実の確認や指導等の措置をとらなければなりません。
古い認識のまま「この程度はいじめではない」と見過ごさないようにしてください。
いじめにおける「重大事態」
いじめ防止対策推進法では「重大事態」への対処についても定められています。
重大事態とは以下の事態です(28条1項)。
① いじめにより児童・生徒の生命・心身・財産に重大な被害が生じた疑いがある
② いじめにより児童・生徒が相当の期間欠席を余儀なくされている疑いがある
①の例としては、
- 自殺を図った
- 重大な傷害を負った(骨折など)
- 精神疾患を発症した(心的外傷後ストレス障害など)
- 重大な金銭的被害を受けた(スマートフォンを壊されたなど)
が挙げられます。
②については年間30日以上が目安です。30日に満たなくても、一定期間連続して欠席しているときには該当し得ます。
重大事態にあたるときには、以下の対応が必要です。
- 学校や設置者による、事実関係を明確にするための調査
- 調査結果等の情報を被害児童・生徒や保護者に提供
- 学校の種別に応じて、地方公共団体の長などへの報告
- 必要に応じて、地方公共団体の長などによる再調査等
いじめにより重大事態が発生したときには、より丁寧な対応が求められます。
学校側が損害賠償を請求される可能性があります
いじめに対しては、被害者から損害賠償請求がなされるケースがあります。その際には、加害児童・生徒や保護者だけでなく、学校が請求の対象となる可能性もあります。
私立学校の設置者である学校法人が責任を負う法律上の根拠は、不法行為(民法709条、715条1項)や債務不履行(民法415条)です。
児童・生徒の安全について万全を期すべき義務
いじめについて学校に法的責任が生じるのは、児童・生徒の安全について万全を期すべき義務が存在するためです。いじめを行う加害者に対して十分な指導をせずに重大な事態を招いてしまうと、義務違反として損害賠償請求が認められます。
加害者本人や保護者に責任があるのはもちろんですが、学校も責任追及を受ける可能性があると頭に入れて対応しなければなりません。
いじめが発覚した際に学校がとるべき対応
いじめが発覚した際には、学校としてすぐに対応が必要です。もっとも、誤った対応をすれば、かえって事態を悪化させてしまいます。
以下の点に気をつけて対応にあたってください。
担任だけで対応させない
まずは、担任だけで対応させないのが重要です。担任は自分の評価が下がるのをおそれて十分に調査しなかったり、強引に幕引きを図ったりする可能性があります。学校が責任を持って調査等を進めるようにしてください。
いじめへの対応は精神的負荷も大きいはずです。担任だけに負担を押しつけずに、学校全体の問題として対応するようにしましょう。
事態を悪化させない事情聴取方法を検討する
いじめが発覚した際には、事実関係の調査が不可欠です。主な調査方法としては、当事者本人や周囲の児童・生徒への事情聴取が考えられます。
しかし、事情聴取の方法によっては、いじめが増幅されるリスクもあります。被害を教員に申告したことが原因で、加害者から報復を受けるケースは多いです。被害児童・生徒から事情を聞く際には、加害者に知られないように、時間や場所に配慮してください。
当事者や周囲から事実関係をヒアリングする
いじめの実態を把握するには、事実関係のヒアリングは不可欠です。被害者・加害者だけでなく、周囲の児童・生徒など関係者にも事情聴取をしてください。
状況にもよりますが、ヒアリングの際には、複数人で行う、直接の利害関係のない人が聞き取るなどの工夫も必要になります。聞き取り内容の記録も残してください。
また、ヒアリングだけでなく、可能な限り診断書、写真、動画などの物的証拠も集めるようにしましょう。
当事者への指導に加え、周囲への説明・啓蒙を行う
いじめの事実を確認できたら、加害児童・生徒や保護者への指導を行います。いじめは許されないものであることを伝え、すぐに止めるように厳しく指導してください。
加害者本人への指導だけでなく、他の児童・生徒への啓蒙も必要です。いじめは絶対許されないことを全体に伝え、今後の問題予防につなげましょう。
当事者からしばらくの期間目を離さない
指導後も、当事者から目を離さず、関係に気を配るようにしてください。
いじめが止まらないようであれば、加害者への出席停止等の措置が必要になります。状況によって、別教室での授業、クラス替えといった対応も考えられます。
いじめが継続する場合は通報を検討する
いじめが継続しており深刻な場合には、児童相談所や警察といった関係機関への通報も検討しましょう。
たとえば、いじめは以下の犯罪に該当する可能性があります。
- 暴行罪、傷害罪
- 強要罪、恐喝罪
- 名誉毀損罪
犯罪行為があり対処が困難なケースでは、無理に学校だけで対応しないでください。
いじめ問題を弁護士に相談するメリット
いじめ問題にお悩みの際には、弁護士に相談するのも有効です。弁護士に相談すると以下のメリットがあります。
最適な事実調査についてアドバイスが可能
学校関係者が調査に慣れておらず、事態を悪化させるケースも珍しくありません。
弁護士は事実調査のプロであるため、方法についてアドバイスが可能です。ヒアリングの注意点、集めるべき物的証拠など、状況に応じて最適な調査方法をお伝えいたします。
第三者の目線から再発防止策を策定可能
いじめが発覚した際には、目先の問題の処理だけでなく、再発防止策の策定も必要です。もっとも、学校だけで策定すると、不十分な内容になり実効性が低くなる可能性が否めません。
弁護士という第三者の目線から再発防止策を検討すれば、学校だけでは気がつけない点にも配慮した内容にできます。
慰謝料請求などに適切に対応します
被害者側から、学校に対して民事上の損害賠償請求がなされる可能性もあります。学校だけで対応していると、相手方や裁判所にうまく主張を伝えるのが難しいでしょう。
弁護士は請求対応に精通しているため、学校側の言い分を法的に整理して主張できます。本来は責任がない事案で、学校が賠償金を支払う事態を回避するには、弁護士への依頼が有効です。
予防の観点で初期対応の体制を整備可能
いじめへの対応で特に重要なのは、初期対応です。誤って実態にそぐわない対応をした結果、状況が悪化するケースが少なからずあります。
弁護士に依頼すれば、事実調査などを適切な方法で行えるため、初期段階で問題が大きくなるのを防げます。初期対応を間違えなければ、被害が深刻化するのを防げるだけでなく、学校側が責任を問われるリスクを抑えることが可能です。
「弁護士は問題が発生してから相談するもの」と考えている方も多いでしょう。実際には、紛争予防の観点からも弁護士に依頼するメリットが大きいです。
いじめ問題への最適な対応については弁護士にご相談ください
ここまで、いじめが発生した際に学校がとるべき対応について、いじめ防止対策推進法の内容などにも触れつつ解説してきました。
いじめ防止対策推進法では、いじめの定義は広くなっています。重大事態である場合はもちろん、至らない場合でも、いじめを見逃さずに調査・指導などの対応をとらなければなりません。適切な対応をしないと、学校が被害者側から損害賠償請求を受けるリスクがあります。
いじめへの対応については、弁護士法人西村綜合法律事務所までご相談ください。
当事務所では、学校法人の皆様から数多くの相談を受けており、いじめへの対応にも精通しています。学校特有の事情にも配慮したうえで、必要なアドバイスをいたします。
いじめの事案では、損害賠償請求を受けているなど既に問題が大きくなっているケースだけでなく、初期段階、発生前であっても弁護士への相談・依頼が有効です。いじめへの対応にお悩みの学校関係者の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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